国交書の統計不適切処理「なぜ起きたか?」 調査報告書の内容とマスコミはズレがあるような

統計不適切処理。

その再発防止策の報道、なんだかズレがあるように思う。

検証委員会がまとめた報告書に基づいているはずなのだが・・・

 

NHK

www3.nhk.or.jp

↑で見ると、

①業務過剰、人を増やせ。

②統計知識が不足、学び、相談できる機会、体制を。

③問題指摘で不利益にならないよう

といっているように受け取れる。

不適切な事柄が明るみに出た時に、個人の責任で片付けるのでなく、組織の構造的な問題としてとらえることで、根本的な改善につながることもあります。」とも。

 

仕事なのですから、個人の責任、ではないでしょう。

非常に違和感あります。

そして、「組織構造問題」という割には、表層的で「組織」の改革とは思われない内容。

 

いったいどんな報告書なのかと実物を見てみると・・・

再発防止策(提言)として

① 業務過多の解消

② 統計を統合的に理解する職員の配置

③ 職員の専門知識の習得
④ 専門家との相談体制の構築
⑤ 問題発見時の対応方法の明確化及び問題の発見と解決を奨励する風土の形成

としている。

 

前後の、問題の原因分析などと合わせて、具体的な内容となっており、上記NHKのまとめやマスコミ報道とは違う印象を持った。

 

特に②統計を統合的に理解する職員の配置、だ。

統計の目的と照らして集計方法を判断できる、ビジョンとアクションをつなぐことができ、可能ならパッションまでもった人、ともいえるだろう。

問題は、そういう人材がいるのか、かもしれない。

 

実態としては、問題発生の原因分析の中で、下記の指摘がされている。

(報告書引用)

これを、勝手に意訳すると・・・

業務内容を知らない管理職が短期間任期でやってくる。

データ回収が遅れる、回収できない等の問題を相談してもムダだし、

これまでとは違う処理をするけれどもその問題について相談しても、意味のある答えは返ってこない。

現場を知って、統計目的とあった調査ディレクションができる、これに尽きると思う。

適切な処理が行われているかについて職位のものが意識を働かせていればというが、

適切な処理や今までの処理について知らない管理職が意識だけ働かせても、的外れな指令になって戻ってくるばかり。

集計作業を現場任せにし分業意識、というが、管理職の「業務」は一体何になるのか?

 

以下、報告書より引用

 

「通常業務をこなすだけで手一杯となっており、上記のような
通常業務ルーティン外の集計作業の点検や見直しを行うだけの人的及び物的
余裕がなかったため、本件合算処理の是非を検討し、これを見直す機会もない
まま、それが続けられたと考えられ」

「本来、室長以上の職位の者が、集計方法を含めて把握し、適切な処理が行われているかについて常に意識を働かせていれば、本件統計室内において、本件合算処理が行われていることを把握でき、その妥当性の検証が行われ、その問題に対する検証が行われていた可能性が高い。」

「本件統計室の室長、課長及び審議官といった建設受注統計に関連する歴代
管理職は、短ければ1年、長くとも 2 年程度で異動することが通例となってい
る(なお歴代の室長の中にはわずか 2 ヶ月で異動となったものも存在する。)。
このように短期での人事異動が前提となっている場合、職員は自らの任期
中に問題を発見したとしても、当該問題への対処を行うことが自らの利益に
ならない(むしろ不利益になる)場合、それを隠蔽して自らの任期をいわば「や
りすごす」インセンティブを持つことになる。」

「幹部が集計作業を現場任せにしていたという分業意識が背景にあったと
考えられる。」

「目先の業務で手一杯で、回収率の逆数を乗じる推計方法の
変更といった統計の理論的な問題と現場集計作業の実際とを結びつけるよう
な思考を働かせることができなかったことにある」

 

報道発表資料:「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」の報告書について - 国土交通省 (mlit.go.jp)

 

報告書はこれ↓

001459557.pdf (mlit.go.jp)

 

 

------------------------------------

この提言も踏まえて、再発防止策が策定される模様なので、結果を注視したい。