人の不在 ~歌川広重「名所江戸百景 月の岬」、豊子愷「人散後、一鈎秋月天如水」

千葉市美術館「ジャポニズム 世界を魅了した浮世絵」展の紹介記事で取り上げられている浮世絵。(20220215朝日夕③)

 

歌川広重「名所江戸百景 月の岬」。

さっきまで人がいたと感じさせる宴席の跡。

海に向かって張り出した座敷の向こうには月がかかっている。

 

無人なのに人の存在/不在を感じさせる。

人の気配や時間の流れを感じさせる。

 

この感じ。

豊子愷「人散後、一鈎秋月天如水」

を思い出した。

 

日本にも少し滞在歴のある中国人画家。

味わい深い絵。漫画と称しての絵。

 

1924年「我メン的七月」創刊号に掲載。歌川の絵は1857年。

豊子愷は、竹久夢二の「クラスメート」に触発され、同テーマの「小学時代的同学」を発表している。

歌川の絵を見たかどうかわからないが、同じような指向性があったに違いない。