映画「長崎の郵便配達」がよかった。
ので、図書館でそのもとになった書籍を借りてみた。
これがいいんだなぁ。
もちろんスミテル少年の被爆体験を語っているのだが、生まれてから被爆前、被爆、被爆後の生活、考え方、人との交わり、戦争遂行者たちの考え、そして作者(戦闘機パイロットだった)自身の考えなど、様々な視点や光景がないまぜになって、うねるように思考を揺さぶってくる。
自然を愛していたという作者の表現は、暗く重くなりがちな被爆体験談に別の視野角を持ち込んでくる。
戦争遂行者たちの考えや科学的データの端的な記述が、視野を広げてくれるとともに、読者である自分の立場を感じ考える上での材料を提示してくる。
類を見ない読後感。
原爆、被爆、核兵器を考える際、ぜひ読んでみてもらいたい一冊である。
貸し出し期間延長をしたいと思ったら、貸出予約が入っているとのこと。
1985年刊なので、映画に触発されての貸出希望に違いない。
「あなたもですか!」と呼びかけたい気持ち ♪
被爆遺品である美しい衣類たち。
これまた、別の視野角をもって、感じ考えさせられる。
新版(?):描かれた側のスミテル氏の希望で刊行された新版があるという。
こちらもあわせて読んでみたいと思う。