大きな組織の問題 「ひとごと」 ~入管報告書  スリランカ女性ウィシュマさん死亡

入管(出入国在留管理庁)の問題。

スリランカ女性ウィシュマさん死亡の衝撃は大きかった。

なんでこんなことが、と思ったが、入管自身が出した報告書もまた衝撃的。

 

内容も衝撃的なので、是非一読を願いたいが、注目したいのはもうひとつ。

新聞に載っている要旨だけでも

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・「点滴や受診を求めたのに、幹部への報告や対応がなかった。看守勤務者や准看職員が必要性を判断するスクリーニングが行われていた。処遇細則と異なり、幹部の目が届かない運用となっていた」

・「容体の急変に対応すべきだったが、意思と連絡・相談できる体制の整備が行われていなかった」

・「DV保護法や措置要領に言うDV被害者の可能性のある外国人として聞き取りを行うべきであった。しかし職員は措置要領を認識せず、事情聴取もしなかった」

・「支援者は・・・入院・点滴や仮放免許可を申し入れた。しかし処遇部門では申し入れの記録が作成されず、部門全体や幹部に共有されなかった」

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幹部は現場を知らない。知るすべを作らない。

知っていると思っているのか?知らないでもいいと思っているのか?

これからどのようにしたら知ることができると思っているのか?

現場が知るべき知識(措置要領、ひょっとすると処遇細則も)をどのように提供するのか?

その状態の維持をどのように図るつもりなのか?

内部の改革だけで大丈夫だと思うのか? 

三者窓口(無視されているんです!と訴えうる先)が必要ではないのか?

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幹部の方!

まさか、知らなかったんだからが免罪符になるとは思わないですよね。

知ることができない組織をデザインしているのは幹部、なのですから。

 

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 ●再発防止策として

 

・職員の意識改革「使命と心得」の策定

・医療体制の強化

・入管庁本庁への監察指導部署の設置

など、

だそうだ。

 

何度よんでも「改善策」(20210811朝日新聞29面入管最終報告の要旨)の意味がわかるようなわからないような。そんな言い方にしかならないのかねぇといった感じ。

責任感や当事者意識は感じられない。

 

 

職員の意識、なんですかねぇ。

職員の意識は、組織の枠組に影響されます。

 

共有してくれなかった、ではなく、情報共有じたいをしくみに組み込むデザインをすべきなのではないか、と思うし、それがなければ、また他人事のように「知らなかった」「報告がなかった」ということになるのではないか、と危惧します。

 

指導部署は本庁でいいでしょうが、問題訴え先の目安箱的役割は、別組織であるべきではないかなぁ。人権扱ってる省庁の組織とか。あるんじゃないですかねぇ。

こここそ、「他人」に任せて、身を守らない「他人事」の目をとりいれるべきではないでしょうか?

 

 

幹部の処分が、

・局長・次長が「訓告」(→ 教え告げること、戒めを告げること、だそう)

・幹部二人が「厳重注意」 (局長、次長は幹部ではない、もっとえらいようです)

 ですから、この方たちに「責任」はあまりない、ということなのでしょうか。

 

 

 

 追記:黒塗りの報告書の開示請求で開示実施手数料15万円がかかっているらしい。

    なんともいえない気持ちにさせられる。

    20210826朝日声欄19歳の大学生の投書より・・・