「戦争に直面している人たちのつらさがわかる、想像できると と簡単に言ってしまうのもよくないとは思うんですが、そこで 『どうせわからない』と切り離して考えることにも違和感があります。同じようなことが自分の身に降りかかった時に、何があれば安心なのか、何をしてもらえたらいいのか。自分と相手を地続きで考えるのがやっぱり大事だと感じますね」( 作家深緑野分さん (朝日20230816⑪))
「報道情報を元に現場に行 き、被告や被害者のゆかりの土 地を訪ね、観察し、時には当事 者と同じ服装をする。いわば 『演じる』わけです。 それを自撮りして作中に自画像として登場させます。 ただ必要以上に背景を調べたり、 当事者にインタビューを試みたりはしません」 「私はあくまで一視聴者で、 情報の消費者であるという自分の立場を 崩さないためです。記者のように取材して真実にたどり着くアプローチは、誰もができる作業ではありません。それに、結局は誰も当事者にはなれ ず、事件でも戦争でも報じら されていることと自分との間には 自分 埋めたい 『距離』があります。でもその距離を縮めること はできるかもしれない。自分なりの『追体験』の試みが、その一つの方法なんです」(石版画作家 松元悠さん(朝日20230816⑪)